稲作のかんがい【いち】
今日、農業用水路について学んだ。とっても興味深かった。このブログは、授業で習ったことを、自分なりにまとめてみたものなのでまちがいがあるかも。
稲作や畑作をする上で水は欠かせない。全て雨で賄えれば良い。でもそれは難しい。そこでかんがいが必要になる。
1かんがいとは?
作物を栽培するために、必要な水を畑や田んぼに供給すること。
2稲作のかんがい
I・稲作の水質基準
稲作に使う水には基準が設けられている。
水素イオン濃度(pH) | 6.0~7.5 |
---|---|
化学的酸素要求量(COD) | 6 mg /ℓ以下 |
無機浮遊物質(SS) | 100 mg /ℓ以下 |
溶存酸素(DO) | 5mg /ℓ以上 |
全窒素濃度(T-N) | 1 mg /ℓ以下 |
ヒ素(As) | 0.05mg /ℓ以下 |
亜鉛(Zn) | 0.5mg/ℓ以下 |
銅(Cu) | 0.02mg/ℓ以下 |
http://www.maff.go.jp/j/nousin/kankyo/kankyo_hozen/hozen_suisitu/suisitu_pdf/suisitu_kizyun.pdf
化学的酸素要求量(COD)、無機浮遊物(SS)は有機物である。これらが多いと分解に酸素を使ってしまい酸欠状態になってしまう。
溶存酸素、これだけ以上と書いていることに気づくと思う。それは、上とも関係をしている。つまり、酸素は多いといいということだ。
最後の三つ、ヒ素、亜鉛そして銅これらは金属である。人工的、工業的なものも存在をしているだろうが、多くは自然由来だろう。しかし、これらが原因で生理障害などがおきてしまう。これは、足尾銅山鉱毒事件と同じだ。
また、カドミウム(Cd)は多少の量であれば稲は、吸い上げ蓄積する。そして、成長をし登熟してしまう。このカドミウムは、イタイイタイ病と関係があるようだ。これは、水質基準には書いていないが、先生が言っていた。
そして、稲作における適切な水温は、おおよそ30~32℃。これも、水路を使い水温を高めることが可能である。
II・稲作が必要とする水の量
田んぼにある水は、蒸発散をしたり、土に染み込んで行ったりする。そのため、たった1日と言えどそれなりの量の水が田んぼから減っていく。そして、1日に田んぼで下がる水位を減水深という。それは、田んぼに供給をしなければいけない水の量ということだ。減水深の測り方は単純で、物差しで水位を測り、昨日の水位との差を計算すればよいだけだ。この、減水深は、代掻き期と普通期で大きく違いが出る。想像すればわかるが、代掻き期は、田んぼをかきまわすので減水深は普通期と比べ大きくなる。ある地域の例をとれば、代掻き期は120mm 、普通期は40~50mmとなる。
そして、減水深を使い水田のかんがい用水でどれほどの水を供給すれば良いのか計算することができる。その、田んぼに供給しなければいけない水の量を期別純用水という。期別というのは前にも書いたが時期によって必要な水の量が変化するからである。
しかし、実際に田んぼで必要な水の量を供給するには、水源となる川などで期別純用水量よりも多い水を必要とする。なぜなら、水は田んぼに届くまでの間に、蒸発などをして水源で汲み上げた時よりも減ってしまうからだ。田んぼで必要な水の量を供給するために川などで必要な水の量を、期別粗用水量という。そして、その蒸発などによって川から田んぼまでの間に減ってしまう水の率を計画管理用水率という。ここでは、計画管理用水率=15%とする。
又、有降雨量というものがある。実際に用水路を作る際には、雨によって水田に供給される水の量も考慮するらしい。いまいちわかってない。
III・期別純用水量と期別粗用水量の計算方法
ここでは、期別純用水量と期別粗用水量の算定方法を書いていく。
(m³/s/ha)
(m³/s/ha)
となる。因みに、上の式の86400というのは、一日つまり24時間=24×60²秒とした数だ。
例)水田の条件を以下の通りにし、かんがい用水の単位用水量を求める。
水田面積: 1ha
減水深: 50mm/day
計画管理用水率: 0.15
この場合、減水深、面積などの単位をmに統一する必要がある。
期別純用水量=(0.05×10000)/86400≒0.0057 (m³/s/ha)
期別粗用水量=0.0057/(1-0.15)≒0.0067 (m³/s/ha)
となる。
つまり1ヘクタールの田んぼで一秒あたり0.0057m³、そして、水源の川では0.0067m³必要ということだ。
IV・最大純用水量と最大粗用水量の計算方法
何度も書いたが、期別純用水量は時期によって変化する。そして、代掻き期に一番増える。
ここで、例を出して考えてみる。ある一つの集落には、田んぼがいくつもある。地域の人たちで、機械を共同で所有をして、田んぼを運営している。とすると、地区内で順番に代掻きをする。その結果、代掻き期でも減水深は地域内の田んぼによって差が出る。通常、代掻き期の最終日が最大の用水量を必要とする。
これらを考慮をして、考えるのが最大純揚水量と最大粗用水量である。
初期かん水量というのは、普通期かん水量のことである。
(m³/s/ha)
例)以下の条件の水田の代掻き期の最大純用水量及最大粗用水量を求める。
水田面積: 1ha
代掻き期の減水深: 160mm/day
代掻き日数: 4日
初期かん水期の減水深:42mm/day
計画管理用水率: 0.15
まず、
代掻き期用水量=0.16×10000/86400≒0.0185
初期かん水量=0.042×10000/86400≒0.0048
最大純用水量=(0.0185×1/4)+{0.0048×(4−1)/4 }≒0.0776 (m³/s/ha)
最大粗用水量=0.0776×1/(1-0.15)≒0.0912 (m³/s/ha)
であった。上で、例で条件を出し算出した期別純用水量と最大純用水量にはすごい差があった。実際は、どんなもんなんだろう。例題の条件はてきとうなものだから。
そして、最大粗用水量がでたことによって全体用水量を求めることができる。ここまで来れば単純だ。
これらで求めることができる。
上の例題で求めた数当てはめると (かんがい期間は150日とする)
1秒当たりの全体用水量=0.0776×1=0.0776m³/s
1日当たりの全体用水量=0.0776×1×86400=6704.64m³/日
1年当たりの全体用水量=0.0776×1×86400×150=1005696m³/年
となる。
つまり、ここでは水田に一年に水が、1,005,696m³、1,005,696,000ℓ必要だということだ。
3結構長く書いたので終わり。
これで、田んぼに必要な水の量を計算することができるようになった。では、次のブログでは、実際に用水路を作る際、必要な水の量を供給するためには、どれくらいの大きさの用水路を作れば良いのかということを求める計算について書こうと思う。
流量、平均流速とか。
以上