wafuupizzaのブログ

某地方の農業系大学に入学した、東京のシティボーイが書いてます。

「FACTOTUM」 勝手に生きろ! 

 

 『勝手に生きろ!』の作者は、アメリカ人のチャールズ・ブコウスキーだ。僕は、彼の作品をいくつか読んだことがあった。久しぶりに、彼の本を読もうと、図書館へ行ったら、この本だけ置いてあった。 

 なぜか僕は、このブコウスキーの本をつい手にとってしまう。なぜか自分でも良くわからない。自分の欲望に正直な主人公、破天荒な自由さに惹かれるんだろうか。

 

 この本の主人公はヘンリー・チナスキーという男だ。フィクションの形式をとっているが、ブコウスキー自身の二十代の頃のことを書いた作品である。チナスキーは、ロサンゼルスにいることが多いが、定住もせず、定職も持たない。仕事についても、真面目に働かず、すぐにクビになってしまう。その上、お金がないのに、いつも酒を飲んで酔っ払っている。彼は、決してまともな人間ではないが、正直な人間だ。

 『死をポケットに入れて』『ブコウスキーの酔いどれ紀行』も読んだことがある。『~の酔いどれ紀行』が、特に僕は気に入ったので、週に2回通っている英語の個人教室ブコウスキーの遺作である『PULP』を英語で読みたいと先生に提案し、原書にチャレンジした。

 先生は3日で読んでしまい、「こんな本、やだよ」と、ブウブウ文句を言われてしまった。で、途中になっている。50代の真面目な女の人には、この本の魅力は判らなかったらしい。僕は、このPulpも好きなのに。PULPの意味は、本、雑誌、小説などにつく形容詞で「低俗な」である。最初からそこを狙ってたんだとすると、内容がグチャグチャなのは当たり前だ。

 実際、F wordsのオンパレードで、主人公もめちゃくちゃで、宇宙人も死神も出てきて、筋もめちゃくちゃだ。

 彼の作品は、一見なんの意味もないように思える。僕もそう思って読んでいた。が決してそうではない。今回、僕が読んだ『勝手に生きろ!』は、河出文庫版だ。その巻末に、訳者である都甲幸治(とこう こうじ)のあとがきがあった。

 彼によれば、ブコウスキーの目指すのは、アンチ嘘だ。例えば、アメリカンドリーム。誰しも、「努力をすれば成功を手にすることができる」はずのアメリカ。しかし、それを別の角度から見れば、アメリカで成功を収められない、貧困にあえいでいる人たちは、自身の努力が足りないと言っているのと同義である。それに対して、ブコウスキーは、彼自身を苦しめているのは、「白人キリスト教徒たち」であると考え、労働者の立場から社会の嘘を追及している。彼の作品は、ブルーカラーのものである。

 白人キリスト教徒ってなんだろう、ブコウスキーも白人じゃないのか?と思って先生に聞いたら、WASPってことだと教えてくれた。

 ホワイト・アングローサクソン・プロテスタント

 

 次は、WASPについて書こうと思う。